オープンリールテープ購入ガイド

ミュージックテープ

ミュージックテープを買う前の予備知識

70年代の終わり頃、カセットテープが誕生普及するまではレコードと併売されていたオープンリールのテープ。通称ミュージックテープ。併売されていたとはいえ、生産数はレコードとは比較にならないほど少なかったが、レコードとは違う「もう一つのアナログの音」を求め、オープンリール マニアたちの間で根強く愛好されていた。

このオープンリールテープは他のメディアに比べ、再生タイプを確認するポイントがいくつかある。最初は聞き慣れない用語とデッキとの対応との兼ね合いで複雑に見えるが、慣れてくるとそこまで難しいものではない。レコードや CD と違った音質で楽しめるので興味のある方はぜひ挑戦してみてほしい。今回はテープを購入する前に確認するポイントを説明する。

ミュージックテープ

チェックポイント:録音のトラック数

録音チャンネル

ミュージックテープには2トラックと4トラックの2種類の録音方式がある。2トラック(IN-LINEとも呼ばれる)というのはテープの一つのテープの幅に対して LR の2つのチャンネルが収録されている。4トラックはその倍でLR,LRと4つのチャンネルとなる。2トラックは片側のみの再生、4トラックはカセットテープと同じ方式でA面B面と往復で再生する。基本的にテープ幅を広く使った2トラックのほうが音質に有利となる。マスターテープなどで使われる方式も2トラックとなる。デッキの再生ヘッドがどちらのトラックに対応しているかで再生出来るかが決まる。もし2トラックの再生機で4トラックを再生すると、行きのA面と帰りのB面が同時に再生されてしまい、恐ろしい音楽を聴くことになる。再生ヘッドの切り替えでどちらも再生できるデッキもあるが、基本は一つのデッキに1種類の再生ヘッドとなる。ちなみに録音も共通の考え方である。

チェックポイント:テープスピード

テープスピードというのは、録音音源がテープにどの時間幅で録音されているかを示すものになる。レコードの33回転と45回転、78回転と同じ考えで良い。基本的に時間幅は38 cm /sec(15ips)、 19cm /sec(7 1/2ips)、 9.5cm/ sec(3 3/4ips) の3種類となる。ipsはインチパーセカンドと呼び、15インチ=38cm、7 1/2(7.5)インチ=19cm、3 3/4(3.75)ips=9.5cmになる。表記を説明すると1sec=1秒で38cm/secは1秒の録音データに対して38cm のテープの長さを使って収録されているということになる。この長さに対してテープを回転するスピードが同一でないと、回転数が合わないいわゆるピッチが狂ったように聴こえてしまう。テープスピードは録音データがどれだけ圧縮されずに収録されているかと同じで数字が大きい方が有利になる。これもデッキによって再生できるスピードが決まっている。基本的に38 cm /sec(15ips)、 19cm /sec(7 1/2ips)に対応しているものと、 19cm /sec(7 1/2ips)、 9.5cm/ sec(3 3/4ips) に対応しているものが多い。前者のほうが音質に拘った本格的なデッキが多く高価だ。

チェックポイント:リールサイズ

10号リール

7号
7号リール

まだある。テープが巻かれているリールの大きさだ。大、中、小と3種類ある。リール は号数で呼ばれる。大は10号リール 直径27cm、中は7号リール 18cm、小は5号リール 13cm。初めてテープを扱う方にはもううんざりかもしれないが安心してほしい。ミュージックテープは概ね7号リールになる。10号リール は38 cm で収録されているマスターテープのような音源、5号リールは一部のUK製のテープなどでしかない。よってデッキも7号リール がかけれるものが中心で、先の2つのポイントよりも影響はない。見た目で判断も出来るため、そこまで気にすることはないと思う。ただし、プロ用のデッキの場合10号リール のみ、反対に簡易的なデッキだと10号リール に対応していないことが多く、念のため注意が必要だ。

このビートルズのミュージックテープは5号リール 、2トラック、 9.5cm/ sec(3 3/4ips)

まとめ

規格として注意しなければいけないポイントを3つあげた。このポイントはすべてテープのケース箱、リールラベルのどこかに表記があり判断できるはずだ。デッキ側の対応規格とテープが合っていないと再生ができないことになる。まずは再生デッキが3つのポイントをどれに対応しているか確認することになる。これからデッキを購入検討している方は、再生したいテープがどの規格に多いのかを確認してほしい。

TECHNICS/RS-1506U このデッキは2トラック/4トラックの再生ヘッドを持ち、テープスピードも3種類すべて対応している優れもの。

オーディオの足跡より

リアリーグッドではミュージックテープの再生についてご不安な方がいらっしゃいましたら、お持ちのオープンデッキのモデル名を教えて頂ければ事前に再生可能か確認させていただきます。お気軽にお問い合わせください。