BREW MOORE IN EUROPE

BREW MOORE IN EUROPE

レスター系のテナー

ブリュー・ムーア・イン・ヨーロッパを紹介する。ブリュー・ムーアはレスター・ヤングの影響が色濃く、やたら長いフレージングを多用した太いテナー吹きだ。あまり作品を録音していないが、 50年代にはファンタジーやプレステージなどで吹き込んでいる。60年代にアメリカからヨーロッパのデンマークに移るが、今回の作品はそこで録音されたアルバムになる。

BREW MOORE
picuki.comより
https://www.picuki.com/media/2243478308157597825

オリジナル盤はレア盤多しのDEBUT RECORDS

オリジナルはデンマークのデビューというレーベルからのリリース。アメリカにもミンガスが設立した同名のレーベルがあるが別物である。ここは他にもエリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ やサヒブ・シハブのジャズパーティーなど、6桁も当たり前のレア盤を輩出している。元々プレスも少ないことから、本作品もデンマーク・オリジナルだと3万以上がザラである。今回当店で販売しているものはアメリカのファンタジーが版権を買ってプレスした US オリジナルというもので、かつ、こちらはさらにプロモ盤である。聴きどころは、やはりブリュー・ムーアをはじめとした60年代初頭を彷彿させる攻めまくる演奏とそれを可能にしたメンバーの演奏スキル。サックスにヨーロッパの有名奏者ラーズ・ガリンとアメリカからヨーロッパの方に移ったサヒブ・シハブ。2人が曲ごとに参加している。ピアノはヨーロッパの実力派ベント・アクセン、ベースにニールス・ペデルセンが若干16歳で参加。こういった豪華な面子が揃って演奏をしてるところが実に素晴らしい。

レーベル

サヒブ・シハブを探せ!

アルバムにはサヒブシハブが作曲したPigerという曲があり、彼のキレのあるサウンドの影響からか全体もキレキレに仕上がっており、さすがサヒブ・シハブだというセンスを感じる 。東欧的な感性とラテンよりの哀愁がバランス良くブレンドされていて異国情緒たっぷりだ。音色に限らずこのアルバムを一つ上の存在にしたのはやはりサヒブ・シハブの存在 が大きい。ジャケットでは奥にちょこっと顔を見せて控えめな感じだが。隠し味的なジャケのビジュアルとは打って変わって前面の二人を食わんばかりの存在感を見せつける。アメリカ・ヨーロッパどちらでも様々な作品に参加しているが、彼のクレジットのある作品はいずれも一味違ったものになるものが多い。気になった方は是非チェックしていただきたい。

おかわり盤

数は少ないがやはり50年代ファンタジーで録音したブリュー・ムーア・クインテットが挙げられると思う。かなり強烈なジャケットなので見覚えがある方もいらっしゃるのではなかろうか。イン・ヨーロッパに比べて少し前の録音になる。レスター・ヤングっぽい雰囲気が色濃く出ており、ゆったりとした名曲が多い。スタン・ゲッツ好きにもお薦めだ。

BREW MOORE QUINTET

アメリカ meets ヨーロッパは名演の宝庫

アメリカのジャズ・ミュージシャンは、ムーヴメントの移り変わりの影響もあってヨーロッパに移住したり、ヨーロッパに遠征した際に録音した作品が多々ある。そこで行われた吹き込みには独特のアウエイな緊張感が漂う。ホームのヨーロッパのジャズメンたちは、尊敬する本場のミュージシャンに認めてもらいたいという気持ちも多いにあろう、気迫に満ちたプレイが聴ける。そのような相乗効果が入魂の一枚となってレコードにプレスされる。~イン・ヨーロッパ等がつく作品にはそういったところにも着眼点を置いて楽しんでいただきたい。

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