PHOEBE SNOW (1ST ALBUM)

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thewisdomdaily.comより
http://thewisdomdaily.com/phoebe-snow-artist-interrupted-mother-of-all-jewish-mothers/

ニューヨーク発、サンフランシスコ行き

フィービ・スノウは主に70年代活躍したシンガーソングライターで、74年にアルバム「 PHOEBE SNOW」でデビューした。別名「San Francisco Bay Blues」というタイトルでもある。
サンフランシスコ(西海岸)と銘打ってはいるが東海岸はニューヨークのミュージシャンだ。しかしこの東海岸の特徴ともいうべきジャズの要素がふんだんに織り込まれている。 
このアルバムが大ヒットをし、その後も順調に音楽活動を続けれると思われたが、子供がハンディキャップを抱えており、育児と音楽活動の両立が難しかったようだ。なかなか思うような活動が最後までできなかった点は少し残念に思う。

早春の毛布の如く

兎に角、フィービ・スノウの良いところはその声に尽きる。少しハスキーがかったドスの効いた低い声のブルース調の歌声がベースだが、4オクターブ以上の音域と称される、透明度の高い広域も持っている。そしてこちらにに寄り添うかのようなゆったりとした歌い方。例えるなら毛布。毛布のように聞き手を包み込むような包容力のある歌声だ。一度その毛布に入ってしまうと心地良すぎてなかなか抜けられないといった魅力である。

じわじわ来る声

この毛布のような歌声を堪能できるのが本作品。一曲目「Good Times」(上記動画)はブルース調のコードで始まり、少しライトな歌いっぷりである。二曲目からジャズよりのコードワークや音色などが現れた曲調に変わっていく。
ここから思う存分フィービの声の音域を堪能いただきたい。三曲目の「Poetry Man」はシングルで大ヒット。アルバムのメインの曲だと思う。不倫を題材にした歌で、少ししんみりとした奥ゆかしい雰囲気にマッチした本当に素晴らしい曲である。
そのままA面、気付いたらひっくり返してB面最後までフィービの歌声をただただ浴びるしかない、といった内容だ。音楽の重要な要素である、表面ではなく内面に訴えかける何か。フィービは聴くたびにジワジワと体の内側に沁みるような、心に届く歌声を持っている。
以降も育児の影響が大きくなるまでの間、コンスタントにアルバムをリリースするが、個人的にはこのデビューアルバムを超えるアルバムはないと思っている。


「同世代の歌手の中でも天性の素晴らしい声を持ち、スタイルとしても技術的にもどんな歌でも歌えるのだが、未だ答えの出ていない問題は、これほどの才能をどの方向に向かわせればいいのか、ということである」

Wikipedia でローリングストーンのレコードガイド記載のコメントより

コメントが物語ってるようにこの歌声を最後まで、デビューアルバム以上に活かすことができなかった、と正直思う。生活面において子育ての事情のこともあり、なかなか集中して音楽活動が出来なかった点も残念だ。
ちなみにバックは大御所のジャズのミュージシャンが中心。「Poetry Man」でフィービと掛け合うようにサックスを吹いているのはズート・シムズである。 

おかわり盤

このデビューアルバムの次に聞くならというところだが、結局この声はオンリーワンなので、2nd アルバム3rd アルバムと続くしかない。彼女を気に入ったら押さえておくべき二作。

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